【東京と地域をつなぐ】「焼酎楽宴」で見えた本格焼酎の新たな定番
東京の酒販店と飲食店が交代でイベントを担当している「焼酎楽宴」は、今年で5回目をむかえました。2015年から開催され、今回は飲食店が3度目となる担当です。イベントの取材を例年同様に焼酎スタイリストyukikoさんが直接取材!新元号・令和になってはじめての「焼酎楽宴」から見えてきた、焼酎・泡盛業界がさらに盛り上がるポイントを報告してくれています!
飲食店が企画運営する3度目の「焼酎楽宴2019」
東京の飲食店と酒販店が1年おきにメインを担当している「焼酎楽宴」は、今年は飲食店がメインです。2019年6月30日(日)に銀座・Blue Lily(ブルーリリー)青百合飯荘で開催されました。今年は来場者数289名、2年前に飲食店がメインになって開催された2017年第3回イベントよりも39名多い結果となりました。蔵元参加数47蔵、協力飲食店47店舗70名、酒販店11店舗13名のメンバーで実施されました。
「焼酎楽宴」は東京の飲食店と酒販店がタッグを組んで「焼酎文化を元気にしていこう」「焼酎を楽しんでもらおう」という目的で2015年から開催されています。2004年頃にピークを迎えた以前の焼酎ブームを経験している飲食店と酒販店が中心となって発足されましたが、回数を重ねるごとに先輩たちの背中を見て育ってきた若手の飲食店・酒販店の皆さんが加わり、回を重ねるたびに組織化してきているイベントです。
飲食店がメインになっている「焼酎楽宴」を例に挙げると、前回2017年の実行委員関係者は8名で、今回は16名と増え、イベントを支える骨組みも確立されてきています。
このように、イベントを運営する側が組織として機能を高めてきている「焼酎楽宴」。来場された皆さんの様子とともに、今年顕著に見られている國酒「本格焼酎・泡盛」の特徴も見えてきました。
定番になった「焼酎炭酸割り」。蔵元も受入れる焼酎の文化
今まで一般的な焼酎の飲み方といえば、お湯割り・ロック・水割りが主流でした。炭酸で割ると「なんで炭酸割り?本来の焼酎の文化は…」と王道とは異なった飲み方として捉えられていました。しかし、ここ3-4年で焼酎を炭酸で割る飲み方が定着してきた焼酎業界。そこにはサントリーのCM効果によるハイボール人気の影響も大きく関わっています。
今までビール党だった人たちが健康や身体づくりを意識した背景により、糖質を意識したお酒の飲み方が浸透してきました。ビールの牙城を崩し、食中酒として好むハイボールファンを増やしたことから、ウィスキーと同じ蒸留酒である焼酎、泡盛も市場を踏まえて炭酸割りに対する肯定的に考え方が増えてきました。
既存商品を炭酸割りにする酒造蔵、炭酸割りに合う酒質の新商品を出す焼酎蔵。「炭酸」というキーワードに対してメーカー側も柔軟になってきたのがここ数年です。今でもウイスキーのように樽貯蔵させたもの、カクテルのように提案するもの、今まで焼酎文化の表現が主に「お湯・水・ロック」の3つだったことに対し、「炭酸」という新たな表現方法を取り入れたことで、各蔵の個性も以前より出るようになりました。
さらに、日本の夏の気候変化も関係します。30度超えの猛暑が続き、蒸し暑い日々を私たちは生活の中で打開していかなければいけません。
そんな環境が今回の「焼酎楽宴」でも、再現されていました。開催日は亜熱帯気候のような1日。参加者が280名以上だったこともあって会場は熱気に包まれていました。
ある蔵元は「お湯割りを飲んでもらいたかったけれど、室内の蒸し暑さでほぼ炭酸割りでしたね」「お客さまから”炭酸割りをください“というオーダーが多くて炭酸割りが皆さんの中で当たり前になってきている印象を受けました」
参加されていた女性は「夏はビールなどと一緒に焼酎も炭酸割りで飲んでいます。冬にはお湯割りを飲むことも多いけれど……」と季節によって飲み分けているそう。炭酸割りは、現代の日本のお酒の飲み方として認知され、新たな焼酎文化を支える定番の飲み方になっているのです。
来年の「焼酎楽宴」は、飲食店がメイン!
来年は酒販店がメインとなって「焼酎楽宴」が開催されます。今回飲食店の企画組織に新たなメンバーが加わったように、小売業の立場から、酒販店のなかでも今後の酒造業界を牽引する人財が表れてくることでしょう。
昨年インタビューした飲食店メンバーの発起人・髙橋研さんも会場で「若い世代がどんどん出てくれるのは業界としても活性されていいこと。以前の焼酎ブームには今ほど”炭酸割り”という考え方はなかったけれど、今はそれが普通の考え方になっている。こうやって捉え方も変わっていいんだと思います」と話されていました。
飲食店、酒販店ともに回を重ねるたびにブラッシュアップしていこうとする姿が見られる「焼酎楽宴」。焼酎ファンやお酒好きの方々には、来年も楽しみで仕方のないことでしょう。
焼酎スタイリスト yukiko のリアルトーク
すっかり焼酎の飲み方のひとつとして定番化された「焼酎炭酸割り」。もはや”新しいもの”でもなく、”流行っているもの”でもなく、ポピュラーなものとして世の中に受け入れられるようになりました。今回の「焼酎楽宴」を取材していても、各所で「炭酸割りが定番のひとつになったな」という印象を受けました。
現代人の食生活やライフスタイルの変化、気候の変化によって、お酒をがっつりと飲むというよりも、ライトな感覚で飲みたい人たちが増えています。そういった生活者のニーズに合っている炭酸割り。ほとんどの酒造蔵が炭酸に合う銘柄を持っているので、皆さんもご自宅で色々と試してみてはいかがでしょうか。
イベント関係者、蔵元、参加者の皆さん、ありがとうございました。
[取材・撮影・文・構成] yukiko(ユキコ / 焼酎スタイリスト、ファッションスタイリスト)
[協力] 色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」
※写真の無断転用、二次使用はお断り致しております。ご理解ご協力のほど宜しくお願い致します。
≪東京焼酎楽宴≫
日時:2019年6月30日(日)11:30-15:00
場所:Blue Lily(ブルーリリー)青百合飯荘
(東京都中央区銀座4-6-1 三和ビルB2F)
【参加蔵元】 八丈興発(東京都)、ゑびす酒造、天盃(福岡県)、常徳屋酒造場、藤居醸造、ぶんご銘醸、四ツ谷酒造(大分県)、重家酒造、久保酒造場、五島灘酒造(長崎県)、黒木本店 / 尾鈴山蒸留所、小玉醸造、佐藤焼酎製造場、松露酒造、古澤醸造、柳田酒造、渡邊酒造場(宮崎県)、天草酒造、豊永酒造、寿福酒造場(熊本県)、植園酒造、宇都酒造、大石酒造、尾込商店、高良酒造、国分酒造、小牧醸造、小正醸造、櫻井酒造、佐多宗二商店[物品のみ]、佐藤酒造、白石酒造、大海酒造、高崎酒造、田村、知覧醸造、中村酒造場、西酒造、万膳酒造、村尾酒造、大和桜酒造、八千代伝酒造、本坊酒造屋久島伝承蔵、有村酒造、富田酒造場、山田酒造(鹿児島県)、宮里酒造所(沖縄県)
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焼酎スタイリスト®、ファッションスタイリスト。色彩総合プロデュース「スタイルプロモーション」代表。株式会社永谷園を経て“色が強み”のファッションスタイリストに転身。全国の蔵元らと連携して「焼酎スタイリスト®」として日本のお酒「國酒」を“流行×オシャレ”に発信。トレンドや美容情報に精通し、ファッション誌やビューティー誌にも登場。”時流”を掴んだお酒のコメントやアドバイスには定評がある。
蔵元や酒販店・飲食店からの信頼も厚く「蔵元公認 焼酎アンバサダー」「焼酎ナビゲーター」「泡盛スタイリスト®」「日本酒スタリスト®」なども務め、全国で講演やイベントプロデュース・企業研修を行う。大学の非常勤講師として教育分野でも活躍。(専門:販促色彩・ビジュアルプロモーション・ブランド構築・伝統文化産業)
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