【東京と地域をつなぐ】「第11回 酒は未来を救う2019」焼酎・泡盛を楽しむ”先”にあるもの
日本のお酒「國酒」である清酒、焼酎・泡盛、そして日本ワインなど約60社が集うチャリティ試飲会「第11回 酒は未来を救う2019」の様子を今年もウェブマガジン「焼酎&泡盛スタイル」ではお届けします。2017年から毎年イベント取材を行っており、本格焼酎・泡盛・清酒・日本ワイン業界の”今”をお伝えしています。横浜港大桟橋ホールで開催されたイベントを焼酎スタイリストyukikoさんが取材をしてくれました。
「子どもたちの未来」のために……有志で広がる酒造業界の輪
焼酎スタイリストyukikoです。11回目をむかえた今年のチャリティイベント「酒は未来を救う」は、焼酎・泡盛蔵17社、清酒蔵30社、日本ワイン17社の酒造メーカー54社と、物販4社の参加により開催されました。「子どもたちの未来につなげる寄付金にしたい」という主催者の想いによって、試飲会の経費以外の売上金はすべて寄付先におさめられている試飲イベントです。経費節約のためにイベント準備から片付けまですべてボランティアで運営されています。
イベントチケット代、会場での物販によって集まった寄付金は、がんの子どもを守る会、日本赤十字社、あしなが育英会など計5か所に送られ、送り先や金額が明確に公表されているのも「酒は未来を救う」チャリティイベントの特徴のひとつです。今回は1,044名の来場があり、寄付予定額は約230万円になりました。すでに2019年3月末にはタイガーマスク募金に44万8千円が寄付されており、他の寄付先にも順次送られる予定になっています。
普段、私たちは嗜好のひとつとしてお酒を飲んでいますが、このイベントではチケットを購入して各蔵のお酒を飲むことによって子どもたちの生活の手助けとなる行為につながっています。今回は「お酒を飲む」という行為から生まれる未来とは何か……それを中心に取材をしてきました。
信頼関係によって成り立つチャリティイベント
「酒は未来を救う」イベントのボランティアスタッフは主に首都圏の飲食店メンバーが中心に構成されています。主催者の花岡賢さんもその一人です。イベント開催のきっかけを伺ってきました。
(花岡さん)「通勤途中に盲学校があって通学する子どもたちを見かける機会が多かったんです。困っている人がいたら手を差し伸べる……務めていた企業でもボランティア活動が盛んだったこともあって、飲食業界に携わる自分にできることは何だろうと考え始めたことがきっかけです。
最初はお店に募金箱を設置して些細なことから初めていたんですが、それだけでは少しの金額しか集まらなくて。もっと子どもたちを手助けできる方法はないだろうかと行きついたのがチャリティイベントでした。飲食店と蔵元の信頼関係はできていたので、鹿児島県の焼酎蔵・国分酒造株式会社の笹山さんたちに相談をして、蔵元や飲食店仲間とのつながりから広げてイベントを開催するようになりました。
私たちが主催する「酒は未来を救う」イベントの目的は寄付金です。一人でも多くの方にチケットを買ってもらって参加してもらうことによって、子どもたちに送ってあげられる金額も増えます。毎年総額で200万円は寄付額に当てたいと思ってスタッフ一同頑張っています」
花岡さんのお話には「イベントの目的は、子どもたちに多くの寄付をすること」と強いこだわりが表れていました。一見、接点が無いように見えてしまう「お酒」と「子どもの未来」というふたつを結び付けているのは、花岡さんをはじめ理事の皆さんが「困っている人を助けよう」「自分たちができることをやろう」というとてもシンプルな信念です。
近年「飲酒」に関する残念な事件・事故も多いため、お酒が人の役に立つ、社会貢献につながるという認識は結びつきにくくなっているかもしれません。しかし「焼酎スタイリスト」として酒造業界に携わる方々を見ていても、蔵元はより良いものを飲んでもらいたいと酒造りに対して切磋琢磨していますし、飲食店や酒販店も酒造業界を盛り上げていこうとする環境が年々出来上がってきています。
(花岡さん)「蔵元や酒造メーカーの理解もあって、このイベントでは清酒・焼酎・泡盛・日本ワインが一堂に会します。日本のお酒を多くの方に飲んでもらいながら、困っている人たちや子どもたちの未来につながるような場を主催者として提供できたらと思っています」
このイベントの特徴は、清酒・焼酎&泡盛・日本ワインがそれぞれ3つのブースに分かれていて、来場者も普段飲まないお酒を手にすることもできます。
実際に参加している焼酎の蔵元に伺ったところ「最初は清酒ブースに人気が集中するけれども、後半は普段焼酎を召し上がらない方もふらっと焼酎ブースに来てくれるんです。その時が焼酎をPRするチャンスかなと思っています」と語ってくれました。
今年もイベント開始時は清酒ブースに長蛇の列が出来ていましたが、1時間経った頃から清酒を飲んでいた来場客がしだいに焼酎&泡盛ブースに足を運ぶシーンが多く見られました。
私たちがお酒を楽しむ「先」に生まれるものとは?
毎年、チャリティーイベント「酒は未来を救う」では、がんの子どもを守る会、赤十字子供の家、あしなが育英会(東日本大震災遺児支援)、タイガーマスク募金寄付先、東日本大震災被災地児童養護施設 新一年生への入学祝として寄付されています。私たちがこのイベントに参加してお酒を飲むこと、グッズを購入することによって、どのように寄付金が使われているのでしょうか。
タイガーマスク募金のブースを担当していた松山清燁(きよあき)さんによると「タイガーマスク募金のチャリティバザー売上は、全て東日本大震災被災地にある5つの児童養護施設に入学祝いとして送られます。小学校や中学校にあがる子どもたちの新生活のために、文具や洋服など必要なものの購入費用に使ってもらっています。
チャリティバザーは、蔵元さん達から貴重なグッズを出品していただくのですが、来場されたお客さまから寄付として値段以上の額を払っていただくことも多いんです。そのおかげで、毎年子ども一人につき1万5千円~2万円くらいの寄付が出来ています。」
日本赤十字社の渡邉格(かく)さんは「2009年のイベント第1回目から寄付をしていただいています。「酒は未来を救う」イベント当日だけでも会場に設置している赤十字の募金箱には10万円を超えるご支援をいただいております。皆さんからの寄付金は、老朽化のため昨年施設をリニューアルした武蔵野市にある児童養護施設「赤十字子供の家」で暮らしている子どもたちのために大切に使わせていただいています。
この施設では子どもたちは毎日楽しく生活していますが、十分な予算があるわけではありません。「酒は未来を救う」イベントは、子どもたちの生活環境や勉強環境を整えるうえで本当にありがたい取り組みをして下さっていて、過去には「赤十字子供の家」の子どもたち全員に新しい靴を買ってあげることも出来ました。
私たちも子どもたちに少しでも良いものを手渡してあげたいと思って日々活動しています。だからこそ、「酒は未来を救う」イベントを通じて支援して下さる皆さんには心から「ありがとうございます」とお伝えしたいんです」
何気ない「お酒を飲む」という行為が、単に私たち自身の楽しみを満たすだけではなくて、子どもたちの生活や未来を支える行為になっているのです。今回取材をしていて寄付先の組織の方々が口をそろえて語っていたのは「このイベントを通して集まった寄付金がどのような人たちを助け、様々な人たちの未来をつながっているものだということをもっと多くの人に知ってもらえたら嬉しい」ということでした。
「お酒を飲む」という行為は、蔵元や酒販店、飲食店などを含めた酒造業界の活性化につながるだけではなく、時には子どもたちの生活や未来にもつながるものになります。
来年も同じ時期にチャリティーイベント「酒は未来を救う」は開催される予定です。もし、この記事を読んで「お酒を飲む」という行為の”先”にあるものを感じてもらえた方は、来年もぜひ”未来へつなげる一杯”としてご参加いただけたらと思います。世の中の子どもたちが大人になった時に、きちんと背中を見せられる「お酒の飲み方」をしていきたい……とあらためて感じた取材になりました。
最後に……。
今回この特集には続編があります。チャリティイベントのタイトルに≪酒は未来を救う〜今、私たちに出来ること〜≫と掲げられているように、ウェブマガジン「焼酎&泡盛スタイル」も「焼酎スタイリストyukiko」もメディアの立場からできることを……という目的のもと、急きょ続編を掲載することになりました!全貌は後ほど……。ぜひそちらもご覧下さい!
[取材・撮影・文] yukiko(ユキコ / 焼酎スタイリスト、日本酒スタイリスト、清酒スタイリスト、ファッションスタイリスト)
[協力] 色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」
※写真の無断転用、二次使用はお断り致しております。ご理解ご協力のほど宜しくお願い致します。
≪酒は未来を救う〜今、私たちに出来ること〜≫
日時:2019年3月24日(日)13:30-16:00(受付13:00開始)
場所:横浜港 大桟橋ホール
(神奈川県横浜市中区海岸通1-1-4)
寄付先:がんの子どもを守る会、赤十字子供の家、あしなが育英会(東日本大震災遺児支援)、タイガーマスク募金寄付先、東日本大震災被災地児童養護施設 新一年生への入学祝として
主催:NPO法人 酒は未来を救う会
【焼酎・泡盛】ゑびす酒造(福岡県)、大石酒造場、豊永酒造(熊本県)、常徳屋酒造場(大分県)、柳田酒造、黒木本店、小玉醸造、古澤醸造、渡邊酒造場(宮崎県)、鹿児島酒造、国分酒造、小牧醸造、小正醸造、軸屋酒造、植園酒造、大海酒販(鹿児島県)、多良川(沖縄県)
【清酒】八戸酒造、鳩正宗(青森県)、阿櫻酒造、新政酒造、福禄寿酒造(秋田県)、阿部勘酒造店、寒梅酒造(宮城県)、曙酒造(福島県)、来福酒造(茨城県)、菊の里酒造、小林酒造(栃木県)、青木酒造(新潟県)、吉田酒造店、御祖酒造(石川県)、武の井酒造(山梨県)、佐久の花酒造、豊島屋、宮坂醸造(長野県)、土井酒造場(静岡県)、冨田酒造、福井弥平商店(滋賀県)、木下酒造(京都府)、山陽盃酒造(兵庫県)、平和酒造(和歌山県)、吉田酒造(島根県)、今田酒造本店、天寶一、美和桜酒造(広島県)、成龍酒造(愛媛県)、天山酒造(佐賀県)
【日本ワイン】エーデルワイン(岩手県)、高畠ワイン、タケダワイナリー、ベルウッドヴァンヤード鈴木智明(山形県)、ココ・ファーム・ワイナリー(栃木県)、麻原酒造越生ブリュワリー(埼玉県)、横濱ワイナリー(神奈川県)、麻屋葡萄酒、アルプスワイン、塩山洋酒醸造、くらむぼんワイン、ドメーヌQ甲府ワインポート、シャトージュン、蒼龍葡萄酒、マルサン葡萄酒、丸藤葡萄酒工業、ルミエール(山梨県)
【物販】Art Note Viking、サラのコトノハ本舗、カネコ小兵製陶所、Love Japan Wine
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焼酎スタイリスト®、ファッションスタイリスト。色彩総合プロデュース「スタイルプロモーション」代表。株式会社永谷園を経て“色が強み”のファッションスタイリストに転身。全国の蔵元らと連携して「焼酎スタイリスト®」として日本のお酒「國酒」を“流行×オシャレ”に発信。トレンドや美容情報に精通し、ファッション誌やビューティー誌にも登場。”時流”を掴んだお酒のコメントやアドバイスには定評がある。
蔵元や酒販店・飲食店からの信頼も厚く「蔵元公認 焼酎アンバサダー」「焼酎ナビゲーター」「泡盛スタイリスト®」「日本酒スタリスト®」なども務め、全国で講演やイベントプロデュース・企業研修を行う。大学の非常勤講師として教育分野でも活躍。(専門:販促色彩・ビジュアルプロモーション・ブランド構築・伝統文化産業)
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