【焼酎スタイリストyukiko 特別取材01】中田英寿さん×前園真聖さん「本格焼酎イベント」トークショー ―日本の「モノづくり」「地域資源活用」特集(前編)―

焼酎スタイリストyukiko です。今回は、日本の「モノづくり」「地域資源活用」特集です。中田英寿さんがスペシャルゲストとして登場された、鹿児島県での本格焼酎イベントの内容を特別編でお届けします。

11月1日は「本格焼酎の日」!鹿児島県113蔵の焼酎が出揃い、情報発信!

2020年東京オリンピック開催がきっかけで、世界各国から「日本」というブランドに注目度が集まると同時に、日本に住む私たち自身が「Made in Japan」ブランドに接する機会も増えていきます。世界に誇れる自国の文化や伝統技術を、日本人としてあらためて理解できるタイミングともいえます。

私yukikoは、色彩総合プロデューサー&ファッションスタイリストとして日本各地の伝統文化や産業に携わるなかで、酒造業界・焼酎業界の皆さんと接点があり、現在ではスタイリストの一環で「焼酎スタイリスト」としても活動しています。本格焼酎は、日本の伝統的なお酒“國酒”として認められているため、日本酒同様、地域の特色や日本の食文化を色濃く表している「Made in Japan」ブランドなのです。

全国では11月1日の「本格焼酎の日」にちなんで、本格焼酎イベントが開催されました。今回は焼酎スタイリストとして、焼酎の本場・鹿児島県で行われた「焼酎ストリート」(鹿児島県酒造組合主催)を取材してきました!

鹿児島市内の繁華街・天文館にて、1万人でいっせいに乾杯イベントやミス薩摩焼酎・ミス奄美黒糖焼酎のお披露目、奄美出身アーティスト「カサリンチュ」のライブ、大人気のご当地ヒーロー「薩摩剣士隼人」が登場したりと内容盛りだくさん!県内外から3日間で9万人の来場数があり、鹿児島県の113蔵の焼酎が一堂に会していました。

2日目には、ゲストに元サッカー日本代表 中田英寿さん、鹿児島県出身の前園真聖さんを迎えた蔵元とのトークショーが開催!そこで語られた内容は、本格焼酎にかぎらず、日本全国の「モノづくり」「地域資源活用」に関連するものでした。

私も東京から日本全国の伝統文化産業を応援するプロジェクト「色と食の旅プロジェクト」や「かごしま芋焼酎コミュニティイベント」をプロデュース&情報発信しています。今回のイベントで中田さんが語っていた内容にも共感する点がありました。

日本全国の「モノづくり」「地域資源活用」に携わる皆さんにも参考になればと思いますので、特別に、取材内容を抜粋して皆さんにお届け致します。

世界から「日本」を見てきた中田英寿さんが語る、文化を広めるポイントとは

本格焼酎は秋から製造期間に入るため、この時期は「新酒」が多く出回る“旬のシーズン”です。11月2日(水)には、日本の酒文化にも関心の高い、元サッカー日本代表 中田英寿さんと、鹿児島出身の前園真聖さんをゲストに迎え、蔵元とのトークショーが行われました。(ちなみに……現在、禁酒中の前園さんはウーロン茶です)

サッカー選手を引退した後に世界各国をめぐり、日本の47都道府県も約7年かけてまわった中田英寿さん。車1台で移動した距離は20万km!お酒をはじめとする日本の伝統に興味があり、ひとつの県を1か月かけてまわることもあったそうです。

日本の伝統文化、焼酎文化をもっと広めるには、何が必要なのか。日本発信の「モノづくり」「地域資源活用」において、どのようなことを意識したらいいのか。ご自身の経験を踏まえて話して下さいました。

中田さんのお話を受けて述べられた前園さん、鹿児島県酒造組合を代表して小牧醸造株式会社・小牧さんのコメントも紹介します。

(中田さん)海外に行っていた頃からワイン好きだったこともあって、もともとお酒には興味がありました。日本文化を勉強し始めた時に、日本にはもっと世界に向けて発信してもいい商品がたくさんあると思ったんです。同時に、クリアしておきたい課題もあるのではと感じました。

ウィスキーやウォッカも、本格焼酎と同じ“蒸留酒”です。本格焼酎はアルコール度数が25度の食中酒ですが、世界の蒸留酒はアルコール度数が40度前後なので、ほとんどが食中酒ではないんです。

だから、食中酒の習慣がない文化圏で、現地の人たちにどのように分かってもらうのか。本当に食事中でなければいけないのか。……日本には日本の文化がありますが、海外へ広めたい時には“現地の人たち”のことを考えて提案しなければいけないんです。

それは日本国内でも同様で、もしかしたら、ワインのように焼酎専用のグラスがあってもいいだろうし、水割り用・お湯割り用など飲み方に合わせたグラスがあってもいい。

食中酒の場合は、食べ物との組み合わせもあるので「うちの焼酎には、この料理が合います」と蔵元の皆さんから具体的に料理を提案して下さると嬉しいですね。(黒豚、カツオのたたき、さつま揚げ、さつまいもなど)食文化が充実している鹿児島県だからこそ発信できることもあるのでは、と思います。

(蔵元・小牧さん)鹿児島の食文化といえば、焼酎の場合は、夏でもお湯割りを飲みます。割り方は焼酎6:お湯4が基本で、先にお湯を注ぎます。今回のイベントではお湯割り、ロック、水割りが飲めますし、鹿児島の特産品や名物料理も食べることができます。各ブースでは、鹿児島県113蔵の本格焼酎が出揃い、つくり手である私たち蔵元が皆さんに焼酎を紹介しています。

私たち蔵元にとって今は製造期のまっただなかですが、自分たちがつくった本格焼酎を皆さんに飲んでほしいという想いで、どの蔵元も参加しています。これからも、鹿児島の本格焼酎をもっと多くの人に飲んでもらいたい。そのためにも、中田さんからお話を伺ったように、鹿児島の本格焼酎を通して自分たちの“文化”も発信していきたいと思います。

(前園さん)中田さんが話してくれたような“外からの意見”って、とても貴重ですよね。鹿児島にいると焼酎を当たり前のように飲んでいるから、こういう視点で見られずにいる時があるかも……。だからこそ、自分たちとは異なった視点で本格焼酎や鹿児島文化と向き合ってくれる人の存在や、そのような意見が聞けるのは有り難いことですよね。

(司会)たしかに、鹿児島県外からの見方や、世界からの目線によって新たに見えてくるものがあるのかもしれませんね。だからこそ、そういう方々の声に、鹿児島にいる私たちももっと耳を傾けながら、いいものは実践してみる。……そうすることで今後の焼酎文化や鹿児島文化の“見えてくる世界”も変わってくるのでしょうね。


「モノづくり」「地域資源活用」に関する活動は、鹿児島県のみならず、日本全国で積極的に行われています。そのなかで、中田英寿さんが話されていたように「このお酒には、この料理が合います」と、つくり手や関わる人たちが各々の立場で“提案”することも、私はこれからの時代には必要だと思っているひとりです。

私は「商業色彩」「ブランド構築」を専門にしていることもあり、全国の生産者・販売店・メーカー・飲食店の皆さんとお会いする機会があります。その時に「うちの商品は、どの料理にも合います」と万能型を語って下さる方が多い……。

しかし、その答え方は「商業色彩」「ブランド構築」の分野においては、効果が薄いとされています。

たとえば、あなたが自分に似合う色を具体的に知りたい時、または自社商品の色彩についてアドバイスが欲しい時、専門家である私が「どの色でも合います」と返答したら……。あなたはその答えをもとに、世の中に無数に存在する色の中から適切な色を選べますか?次回もお金を払ってアドバイスを求めようと思いますか?

それと同じです。
情報発信側が良かれと思って伝える情報が、エンドユーザーや依頼者にとっては、そうとは限らない時があります。その誤差を認識し、きちんと埋めていく情報発信こそが、現代の市場に必要な“コミュニケーション”なのです。

弊社にパッケージデザインや商品企画、販促活動のご依頼をいただいているクライアントの皆さんには、その部分を細かくアドバイスさせていただいています。企業研修や講演ではノウハウをお伝えしています。それを実践して下さっている方々や商品には、やはり「ファン」や「リピーター」が増える。きちんと「ブランド」として育っている証拠といえます。

現在、焼酎業界もそのような意識を持って活動されている方が増えてきています。だからこそ、今後の飛躍が興味深く、「焼酎スタイリスト」として応援したくなる業界なんです。

ちなみに……。
「焼酎はオジサマが飲むお酒」という認識は、もう過去のものですよ(笑)。
実際に“時流”を掴むことに長けた感度の高い方は、本格焼酎に目を向けています。

鹿児島県など地域色豊かな「本格焼酎」というブランドが、そして「本格焼酎」という日本を代表するブランドが、今後どのような輝きを放つのか……。皆さんも私と一緒に興味を持って、焼酎業界の前進を応援していただけたら嬉しく思います。

次回も、焼酎スタイリストyukikoの特別編です。
どうぞお楽しみに。

【本格焼酎イベント / 焼酎ストリート】
2016年11月1日(火)~3日(木)鹿児島市[天文館]
主催:鹿児島県酒造組合
[撮影]Kazuhiro Bamba
[取材・撮影・文・企画構成・現地コーディネート] yukiko(焼酎スタイリスト / 色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」代表)

※写真の無断使用・転用はお断りしております

【この記事に関するお問い合わせ】
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(この記事はキャリア&マネー協会 yukikoが連載を担当するコラムでもご覧いただけます)

 

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